開催月日:2023年9月21日(木) 13:30~15:30の予定(13:00~受付開始)
講師:吉田健一さん(ジオパーク秩父上席推進員・NHK放送大学講師)
場所:板橋区ハイライフプラザ
定員:28名
受講料:700円(当日受付でお支払いください)
講師の吉田さんは、高校の山岳部で山に登り自然の魅力に目覚め、大学では地質学を専攻し、卒業後教師となる。教員退職後にジオパーク関係の仕事に就き現在に至る。
ジオパークとはユネスコの言葉で、地球・大地と公園を組わせた言葉である。日本にはジオパークが44カ所ある。そのうち昭和新山(火山性)、筑波山(マグマ性)、銚子、大涌谷、称名の滝、弥陀ヶ原、雲仙普賢岳島の説明をする。その後、ジオパーク秩父の話になり、秩父は明治政府の地下資源探索の為ドイツから招いたナウマン等による研究で地質学発祥の地となる。盆地特有の気候、冬は寒く乾燥していて山腹では寒く上空は温かい。「つるし柿」「氷柱」はこの産物である。樋口小学校浦野岩に刻まれた「水」の文字、1742年の寛保の洪水記録。盆地に降った水は全て長瀞に集まる。増水時に砂礫が一掃され水が減ると水溜まりとなり、「瀞」と称される。水道が整備される前は、水の出るところに人が住んだ。湧水や井戸の分布を調べると歴史が分かる。水は貴重なので信仰の対象になっていると。雲取山・白岩山・妙法山の三山が名の由来の三峰神社。ここの地層区分は日本列島を東西に横切り秩父から紀伊半島や四国まで続く「秩父帯」「四万十帯」。熊野古道にも「大雲取越え」「妙法山」の名がある。景行天皇がつけたと伝わるが、修験者が東国に来て、地層が熊野の景観に似ている地を見て名付けたと考えられる。
秩父の地質・地形と生業についての話。水不足の段丘面では米が採れないので絹産業が栄えた。上流切断流域(蒔田・太田)は米どころで豊かな暮らし。年貢の取立てに絡む秩父事件と生業(米農家と生糸生産農家)の関係、原始の地形が残る個所では林業が盛ん・険しい地形が残る個所は植林できないので岩場に残ったカエデ、メープルを採取。信仰に守られた札所の自然、地の恵(金・銅・鉄の採掘)・鉱石と石灰岩からセメントの製造。「産業から観光(カヌーツアー・ジオグラビテイーパーク)へ」の変化。
山と地質の話。尖った山頂は「石灰岩・チャート」盆地の東側は変成岩で崩れやすいので、ハイキング適した山が多い。盆地を取り巻く山の地層は「秩父帯・四万十帯」と呼ばれ急峻な地形で事故も多い。黒斑山、浅間山は昔の火山活動でできた。
それから、海外の山のマッタホルンは悪魔が住む山と恐れられ、登ることが出来なかった山ですが、壁の積雪状況から地層の傾きに気づき、1885年にEdward Whymperが初めて山頂に立ったが下山時に仲間4人を失う悲劇に見舞われた
最後に、思考と体の健康づくりの話で、都会は人の作ったものに囲まれて暮らしているのでストレスが多い。一方、他人の関わりの少ない自然は自分で感じるものが主で、他人に翻弄されるストレスが少ない。「情報」にだけ依存せず、本物・現物に接して感じ取ることが大切だ。それから、人はいつも前かがみの状態で筋肉が緊張して疲れるので疲れの取れる運動をするのが良い。
講師の吉田さんためになるお話し有難うございました。
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