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新ハイキングクラブ「お山の教室」

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「お山の教室」第132回
『危機管理と遭難の本』

開催月日:2023年6月13日(火) 13:30~15:30の予定(13:00~受付開始)
講師:神長幹雄さん(元「山と溪谷」編集長・日本山岳会会員)
場所:板橋区ハイライフプラザ
定員:28名
受講料:700円(当日受付でお支払いください)

 

内容

講師である神長さんは、元「山と溪谷」編集長で多数の山岳図書の編集を担当し、自らも取材に携わった経験から登山のおけるリスク管理とはどんなものか? 遭難記録や事例を検証し、学習することから危機管理の在り方をお話しいただきます。

 

レポート

まずは信州大学在学中に、外国へ行ってみたくなり米国で2年間、学生ビザ観光ビザで滞在、帰国後の就活で「山と渓谷社」に就職し、多数の本の編集に携わることになったとの自己紹介から始まった。

講演の趣旨は登山におけるリスク管理とはどういうものか。遭難記録や遭難事例を検証し学習することから危機管理のあり方を考えることであった。

時代、ブームによって、遭難も態様の変化をしてきている。

①マナスル登山ブーム期―ロッククライミング中の滑落、雪山での雪崩遭難
②中高年登山ブーム―一般登山道での転倒、滑落、道迷い遭難、突然死
③山ガールブーム―安易な救助要請、スマホの普及、高齢者の遭難。また、救助、レスキューもマンパワーによる背負い救助からヘリコプター救助へ。GPS・スマホ利用により遭難の考え方も変わってきた。

ご自分で編集した書籍の紹介された

①「ドキュメント**遭難」シリーズでは「生還」「雪崩」「気象」「道迷い」「滑落」「単独行」「山の突然死」などがある。
②救助側から「空飛ぶ山岳救助隊」の東邦航空の篠原さんの紹介「レスキュー最前線**警察」シリーズでは「長野県」「岐阜県」「富山県」
③個別の遭難として「トムラウシ山遭難はなぜ起きたか」では安全配慮と旅程消化の相反、低体温証。「ドキュメント御嶽山大噴火」での初動、判断、行動、技術の大切さ。

その他、八甲田山、K2とエベレスト、山野井泰史に話題は広がった。

最後に、「山のリスクに対する想像力の欠如」が問題で、次の点が強調された。

①登山計画書の作成、登山届の提出、5万図など地図の携帯と読図法の習得
②実際の社会で事故が起きたとき、社会システムの側に問題があると考え、責任をシステムの側に帰属させる傾向が強くなっている。そうすると、社会に潜んでいるはずの危険が見えにくくなる。
③登山用品の進歩、スマホの普及、登山道や山小屋の整備によって、登山者のリスクに対する考え方が希薄になる。
④山は不確定要素が多く、その対処を誤るとたちまち危険な状態。そこに登山中に疲労が重なると、一気に危険度が高まる。では、どう対処するか?

リスクを絶えず「意識下」させる②それによって、判断力の低下を防ぐ、危機に対しては「予感」を大切にする。③万が一、事故が起きた場合、必ず「生きて還る」という意識が大切。④まず冷静になること。そして、決して諦めないこと。と締めくくった。

時間を延長しての熱弁、ありがとうございました。

 

会場案内

板橋区ハイライフプラザ

地図

JR埼京線「板橋」駅西口より徒歩1分
都営地下鉄三田線「新板橋」駅A2・A3出口より徒歩3分
東武東上線「下板橋」駅より徒歩7分

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