お山の教室

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「お山の教室」第101回
『韓国の山とハングル』

開催月日:2020年11月25日(水)13:30~15:30の予定(13:00~受付開始)
講師:上野和夫さん(新ハイキングクラブ・元リーダー)
場所:板橋区ハイライフプラザ
定員:30名(参加者:12名)
受講料:700円(当日受付でお支払いください)

 

主な内容

今年、4月に計画されていたものの、新型コロナ禍の影響で延期になっていた講座です。近年、関係悪化の懸念が何かと話題になる日韓両国。本来ならば友好関係を深めるべき隣国・韓国の現状を知らずに、流されている危惧があるように思えます。今だからこそ、韓国の実際を魅力あふれるハイキングコースの紹介とともにお話ししていただき、「草の根交流」に貢献するのはいかがですか?講師は新ハイキング元山行リーダー、韓国通の上野和夫さんです。
ぜひ、お早めにお申込みください。

1韓国登山の黎明期
2朝鮮半島の地勢的特徴
3韓国の山登り
4ハングルについて
5質疑応答

 

レポート

講師の上野さんは10年間にわたって新ハイでサブリーダー・リーダーを務められ、近年は度々韓国の山にも訪れる韓国通です。コロナ禍の中、人数制限がかかる状況でしたがたくさんの資料をご用意くださり、当日を迎えました。

まずは韓国登山の歴史から。36年にわたる日本の統治時代から抜け出し、韓国にもスポーツアルピニズムの波が押しよせました。都会から近い距離にハイキングに適した山々がある好条件もあり、韓国の14サミッター(8000m峰完登者)は日本を超えるそうです。朝鮮・韓国の山を日本に紹介した飯山達雄さんのお話しもありました。

次は朝鮮半島の地勢的特徴です。朝鮮半島は花崗岩の岩盤帯で、北朝鮮は日本の東北地方の緯度に匹敵し、亜寒帯の針葉樹林が中心だそうです。標高は2000mを超え、韓国よりも高い山域です。韓国の山は標高は低いものの花崗岩の山体で、見ごたえのある岩峰が並びます。岩山故、植生は貧弱で、多様な植物は見られないそうですが、標高が上がるにつれ見られる植物の垂直分布がはっきりしていてそれも見どころだそうです。韓国の冬山は、雪は少ないものの気温が低く、登山には適さないそうです。

実際に韓国を訪問し、どんな山登りができるのか、具体的なお話しに移りました。何といっても都市部からの交通が便利で、地下鉄の駅を出るとそこは登山口、というお話しが印象的でした。実際、ソウル近郊にもいくつもの国立公園があり、600~800mの山々が存在します。600mと聞くと、高尾山を思い浮かべますが、韓国の600m峰はすっきりした花崗岩の岩峰で、写真映えのする山々です。映像も見せていただきましたが、岩肌にはがっちりとした手すりや太いロープが設置され、安全に登れそうです、しかし、基本岩山ですから正規ルートを外れると崖上に出たり危険な要素も多く、その分道標はしっかりしたものが各所に立てられています。下山後、少し行けば韓国料理のお店に出合い、祝杯をあげることができるのも魅力です。

最後にハングルのお話しがありました。日本語とは全く異質な印象のハングルですが、日本語と語順が同じため、単語さえわかり順序よく並べればそれで通じます。また、ハングルの基本は漢字、とのことで、「日本⇔本日」「会社⇔社会」のような変換が共通する言葉も多く、一度覚えた単語はいろいろ活用できそうです。韓国旅行やハングル学習の前に、茨木のり子さんの『ハングルへの旅』をぜひ読むように、というお話しもありました。韓国への必要以上の構えが取れ、すんなりとなじめる効果があるそうです。

近くにあって魅力的な韓国、旅行自体も北海道よりお安く行けるとあって、これからの選択肢に入れてもいいなと感じた講演会でした。 講師の上野さん、ありがとうございました。

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