開催月日:2019年5月22日(水)13:30~15:30の予定(13:00~受付開始)
講師:石田良恵さん(日本ウェルネススポーツ大学教授)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:30名
①石田先生のプロフィール
②登山に必要な体力について
③加齢に伴う身体能力の変化
④山筋ゴーゴー体操について
⑤実技
今回は石田良恵先生による「山筋ゴーゴー体操」講座のパートⅡ。第1回は昨年1月ですから、ほぼ1年半ぶりの開催となります。今回も、リピーターを含め、熱心な会員の方々がお集まりになりました。石田先生は、ご自身も陸上競技の選手としてご活躍されてきた方で、競技人生後半で山と出合い、山に魅了されてきた経歴をお持ちです。アスリートである石田先生が山に登ると、最初の頃はペースが当然速くなり、リーダーを追い越して登って注意されたそうです。先生は77歳の現在も驚くほど元気な方で、背筋は伸び、体型も引き締まり、とてもそのお歳には見えません。
先ずは登山に必要な体力と加齢に伴う運動能力の低下について、画像資料を使ったお話がありました。「今の自分の体力・健康は今まで自分が生きてきた収支決算です。」の言葉に、はっとさせられます。加齢に伴う免疫機能の低下により、体調を崩しやすくなり、視力、筋力、骨強度の低下はバランス力の低下につながり、転倒に直結する、肺活量の減少や循環器系の機能低下は「バテやすさ」につながる、などのお話です。いずれも思い当たることばかり。登山を続けていても様々な部位で退化や萎縮が起こり、その現象は60歳を過ぎると更に加速するそうで、「定期的に登山をしているから大丈夫」とは言えないようなのです。では、安全で余裕のある登山を実現するために、どうするか?そのためには、年齢とともに落ちる「速筋繊維」を鍛えることがカギのようです。人体の筋肉はどこから落ちるかというと、腹筋と太もも前面の「速筋」と呼ばれる筋肉から、だそうです。筋肉量は加齢に伴い、1年経過するごとに1%減少する、ということなので10年経てば1割減ってしまうわけです。更に驚くことには、寝たきりになると2日間で1%減少し、その回復には2週間もかかります。数字で言えば、寝たきり2日が1年分の老化に匹敵することになります。高齢者が大腿骨骨折などで寝たきりになることがいかに危機的か、よく理解できました。余裕のある山登りのためにはこれらの速筋繊維を中心とした「登山のための筋肉」を鍛える必要があります。
そこで「山筋ゴーゴー体操」の登場です。会場の中央にスペースを設け、実技に入りました。石田先生の分かりやすい解説を交えながら、まずは心拍数の計測や開眼片足立ちなどの体力年齢確認から。自分の体力の現状を知ることは課題の設定に必要です。次は着席してのストレッチ。ストレッチで各部をほぐしながら下肢の筋群を鍛えることが主目的の「山筋ゴーゴー体操」に取り組みます。背伸びから始まり、脚の横上げ、スクワットなどの正しいやり方を経験していきます。数を数えながらやることで呼吸を止めず、適切な時間も確認することができます。着席して背もたれは使わず、腕を胸前で組んで曲げた両足を繰り返し持ち上げる「ももあげ」は見た目以上にきつく、腹筋や大腿四頭筋にすごく効きそうです。自宅で簡単にでき、主に自重を負荷にした「山筋ゴーゴー体操」を7種類紹介していただきました。時間的には20分程度でしたが、参加者はみな汗ばみ、きつそうな表情にもかかわらず雰囲気はとても明るく、楽しく取り組んでいます。「山筋ゴーゴー体操」は簡単な運動なのに登山には効果抜群の手ごたえを感じました。それに加え、山での持久力の強化に効果的な「スロージョギング」の解説もあり、「山筋ゴーゴー体操」とスロージョギングを組ませれば、山向きの体作りは完璧だなと感じました。スロージョグはフォアフット着地でゆっくりと走りますが、膝や足首への負担が少ないけれど、ウオーキングより消費カロリーは高く、筋トレにもなる優れた運動です。更に、筋力づくりにはトレーニングだけではだめで、睡眠と望ましい食生活(特にタンパク質)も大切、というお話もありました。
講師の石田先生は参加者のみなさんと同世代なのですが、そのスタイルは引き締まって若々しく、トレーニングの効果を体現されていました。大いに良い刺激を受けた2時間でした。石田先生の熱心で分かりやすい講演・実技に、パート3やスロージョグ講座への要望も出されていました。講師の石田先生、ありがとうございました。