開催月日:2019年1月29日(火)13:30~15:30
講師:本多直也さん(アルパイン・ツアーサービス)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:15名
日本人ハイカーが手軽に、安全に海外トレッキングができるようサポートし続けてきた「アルパインツアー」社も今年、創業50年を迎えるそうです。そのアルパインツアー社から、ツアーの現場でご活躍の本多直也さん(元 日大山岳部主将!)をお招きし、たくさんの映像を交え、海外ロングトレイルの魅力を紹介していただきました。
1:ロングトレイルとは?
「日本ロングトレイル協会」によると、『ロングトレイルとは「歩く旅」を楽しむために造られた道』のことだそうです。登頂を目的とする登山とは異なり、登山道だけでなく自然歩道、里山の道、時には車道などを歩きながらその地域の自然や文化、歴史にふれることができるのが「ロングトレイル」です。欧米には3000㎞を超えるトレイルもあり、世界各国から多くの人々が訪れています。考えてみたら、日本の熊野古道や四国巡礼道も立派なロングトレイルで、現在は信越トレイルをはじめ、様々なルートが整備されつつある現状(現在の加盟トレイル数は24)だそうです。
2:世界のロングトレイル紹介
現在の自然保護運動の原型となったのは、1800年代後半にアメリカのヨセミテで持ち上がった巨大ダムの建設に反対する運動です。その運動の中心となったのがジョン・ミューアで、彼の思想は当時の大統領を動かし、世界初の国立公園(イエローストーン)設置につながりました。自然保護に尽力したジョン・ミューアの名前がそのまま付けられたのが「ジョン・ミューアトレイル」で、これが本日最初の紹介地です。
このトレイルのあるヨセミテ国立公園は入口だけを観光する訪問者が99%で、その奥(バックカントリー)に足を踏み入れるのは100人に1人だそうです。そのトレイルを歩くためには一日に45人まで、というチケットを5カ月前の申請で入手する必要があります。入場制限をしている分、大自然の景観は保たれ、紹介されたサウザンドアイランドレイクの画像はどこでもドアがあれば今すぐにでも行ってみたい!という場所でした。Mtホイットニーがゴール、というのも魅力です。
次は有名なニュージーランドの「ミルフォードトラック」で、54㎞のルートを3泊4日で歩きます。氷河に削られた壮大なU字谷やブナ、シダなどの植生が魅力で、海外からのトレッカーとの交流も楽しめます。宿泊施設や料理の充実ぶりも特筆もので、さすがに有名トレイルだと感じます。同じくニュージーランドのルートバーントレイルはミルフォードよりも高い標高のルートなので、山岳展望が魅力です。
その他、コンティネンタルディバイドトレイル(分水嶺をたどり、エルバート山を登頂)や有名なマウントレーニアを周回するパシフィッククレストトレイル、アンデス(ヒマラヤ襞の美しい6000m峰に近づける!)やインカのトレイルも紹介され、美しい映像にため息の連続でした。
3:プランニングについて
プランを立てる際は、目的や予算、期間、メンバーや山行形態により様々な選択肢が考えられます。ロングトレイルにしても30km程度から3000㎞超えのものまであり、山に登りたい、花を見たい、世界遺産を訪問したい、など目的によって数多くの候補から選択が可能です。まずは、既成のツアーに参加し、海外トレイルを経験してみることが大切、と感じました。
4:リスクマネジメントについて
海外の山行はそのリスクを考えると二の足を踏んでしまう方も多いかと思います。海外に出ることそのものでも言葉や習慣、治安の違いによる事故やトラブルがあり、その上、山にも登る(場合によっては富士山以上の高地)わけですから登山に関連する事故や健康上のリスクにも対応しなければなりません。パスポートの紛失や高山病対策などについて、説明していただきましたが、やはり最初はガイド付き登山がよさそうです。
次々と提示される魅力的な画像を味わいながら、2時間の講演が終わりました。本多さんだけでなく、途中は営業部 課長の山田勝さんも登場し、きめ細やかな説明をいただきました。時間とお金が許せば、それほどの勇気や手間はいらずに海外トレイルが楽しめる時代になったことを痛感しました。本多さん、山田さん、ありがとうございました。なお、ツアーの詳細は「アルパインツアー」のホームページをご覧になるとよいかと思います。