開催月日:2018年1月24日(水)13:30~15:30
講師:石田良恵さん(保健学博士・女子美術大学名誉教授)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:26名
①石田先生のプロフィール
②登山に必要な体力について
③加齢に伴う身体能力の変化
④山筋ゴーゴー体操について
⑤実技
今回の講師、石田良恵先生は、ご自身も陸上競技の選手としてご活躍されてきた方で、競技人生後半で山と出合い、山に魅了されてきた経略をお持ちです。アスリートである石田先生が山に登ると、ペースは当然速くなり、リーダーを追い越して登って注意された、というエピソードからも分かるように今でも驚くほど元気な方で、「山筋ゴーゴー体操」の効果が早くも垣間見えた気がしました。
先ずは登山に必要な体力と加齢に伴う運動能力の低下について、画像資料を使ったお話がありました。加齢に伴う免疫機能の低下により、体調を崩しやすくなり、視力、筋力、骨強度の低下はバランス力の低下につながり、転倒に直結する、肺活量の減少や循環器系の機能低下は「バテやすさ」につながる、などのお話です。いずれも思い当たることばかり。安全で余裕のある登山を実現するために、では、どうするか?そのためには、年齢とともに落ちる「速筋繊維」を鍛えることがカギのようです。人体の筋肉はどこから落ちるかというと、腹筋と太もも前面の「速筋」と呼ばれる筋肉から、だそうです。太ももなどの大筋群は1年経過するごとに1%減少する、ということなので10年経てば1割減ってしまうわけです。更に驚くことには、寝たきりになると2日間で1%減少するということですから、わずか寝たきり2日が1年分の老化に匹敵することになります。高齢者が大腿骨骨折などで寝たきりになることがいかに危機的か、よく理解できました。
そこで「山筋ゴーゴー体操」の登場です。今回は広い会場を用意しましたので、中央にスペースを設け、実技に入りました。石田先生の分かりやすい解説を交えながら、まずは心拍数の計測や開眼片足立ちなどの体力年齢確認から。自分の体力の現状を知ることは課題の設定に必要です。次は着席してのストレッチ。ストレッチで各部をほぐしながら下肢の筋群を鍛えることが主目的の「山筋ゴーゴー体操」に取り組みます。背伸びから始まり、脚の横上げ、スクワットなどの正しいやり方を経験していきます。数を数えながらやることで呼吸を止めず、適切な時間も確認することができます。着席して背もたれは使わず、腕を胸前で組んで曲げた両足を繰り返し持ち上げる「ももあげ」は見た目以上にきつく、腹筋や大腿四頭筋にすごく効きそうです。「山筋ゴーゴー体操」を7種類経験しただけで、参加者はみな汗ばみ、きつそうでしたが、雰囲気はとても明るく、楽しく取り組んでいます。「山筋ゴーゴー体操」は室内でできる簡単な運動なのに登山には効果抜群の手ごたえを感じました。それに加え、骨の強化に効果的な「スロージョギング」の解説もあり、「山筋ゴーゴー体操」とスロージョギングを組ませれば、山向きの体作りは完璧だなと感じました。筋力づくりにはトレーニングだけではだめで、睡眠と望ましい食生活(特にタンパク質)も大切、というお話もありました。
講師の石田先生は参加者のみなさんと同世代なのですが、そのスタイルは引き締まって若々しく、トレーニングの効果を体現されていました。大いに良い刺激を受けた2時間でした。石田先生の熱心で分かりやすい講演、実技にパート2の要望も出されていました。講師の石田先生、ありがとうございました。