開催月日:2016年7月13日(水) 13:30~15:30
講師:伊佐 九三四郎さん(『大河紀行荒川』の著者)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:20名
ご自身の著書「大河紀行 荒川」の足跡に従い、自然・人・生活・風習などに触れながら豊富な映像資料も交え、大河、荒川の魅力をお話くださいました。
今回の講師は、古くからの新ハイキングクラブの会員であり、60年も前からいくつかの随想を新ハイ誌に寄せられていた、伊佐九三四郎氏であった。
伊佐氏は里山から雪山までの広範囲の山、そして幅広い自然・文化・歴史に親しみ、国内のみならず海外にも足を運び、その紀行を多くの出版物として世に送り出している紀行作家でもある。
今回のお話は、半世紀前からイメージを持ち続けていたもので、荒川源流の真ノ沢を遡行し、荒川最初の一滴を掬ってから河口に向けてスタートする、という企画を実行したものだった。地理、歴史、生活など様々な観点で荒川とその流域を味わいながらの、まさに荒川紀行そのものだった。
荒川は奥秩父の甲武信ヶ岳の真ノ沢を源流とし、埼玉県、東京都を流れ、東京湾に注ぐ一級河川であり、国交省起点から河口まで173km、起点から真ノ沢源流までは約9kmである。荒川は、その名の通り、「荒ぶる川」であり、洪水等を頻発させ、流域の生活に多きな影響を及ぼした。江戸時代初期には荒川及び利根川の付け替え工事が行われ(荒川の西遷、利根川の東遷)大洪水への対応が図られた。
荒川の源流から河口までを
①源流
②河岸段丘
③扇頭 扇状地
④都市河川
に分類し、それぞれのエリアでの注目すべきものを挙げていくと次のようになる。
≪源流≫
真ノ沢遡行(沢登り、中級クラスの沢)
甲武信ヶ岳直下の源流点(甲武信小屋から一般道)
入川渓谷(川又から東大演習林を経て国交省の荒川起点)
栃本関所跡(典型的な秩父の山村風景)
秩父御嶽山(直下に秩父御嶽普寛神社・普寛行者を祀る)
猪狩山(日本武尊伝説にまつわる山頂の神事)
三峰神社(狼信仰の山)
旧三峰街道(手掘りトンネル、高札場も残る懐古的な道)
≪河岸段丘≫
三峰口(贄川宿、白久の渡し跡)
秩父盆地(秩父札所三十四カ所、秩父夜祭、川瀬祭)
長瀞(宝登山、長瀞アルプス、日本の地質学発祥の地、大洪水跡)
≪扇頭・扇状地≫
寄居(川の博物館、鐘撞堂山、鉢形城跡)
深谷、川本(名将、畠山重忠の里、コハクチョウ飛来地)
鴻巣(川幅日本一のまち、川幅うどんで町おこし)
戸田(遊水地の活用、戸田公園)
岩淵(赤水門と青水門、荒川知水資料館、荒川放水路)
≪都市河川≫
荒川(旧荒川放水路)
両岸(東京スカイツリー、葛西臨海公園の人工なぎさ、大観覧車等)
最後に紹介された全地域をカバーする映像資料が40分に渡って放映され、荒川を再認識することができた。なお、講師の実践は白山書房より『大河紀行 荒川』(2012年11月出版 2100円)に詳しい。