「お山の教室」第48回 『西丹沢の自然』
開催月日:2016年6月13日(月) 13:30~
講師:倉持武彦さん(西丹沢自然教室館長)
場所:板橋区ハイライフプラザ
定員:30名
主な内容
新ハイ読者にとって親しみのある西丹沢の魅力や危険について講演。
西丹沢の特性をベースに、予想されるリスクやそれに対する対処法などを話していただく。
レポート
お山の教室第48回は「西丹沢でステップアップ」と題して新ハイ会員にもおなじみの西丹沢自然教室館長 倉持武彦さんにお話をお聞きしました。
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同自然教室には13年前(そのうち3年間は宮ケ瀬ビジターセンター)から勤務されていらっしゃる倉持さん。杉並の荻窪生まれですが、小さい時から山に親しみ、東・西の丹沢での沢登りや雪の時期は八ヶ岳、6000m級のヒマラヤや北極点まで滑走する頼もしきアドベンチャーの顔もお持ちです。自然教室の仕事から一歩前に進むべき指導者として山岳ガイドの資格にも挑戦中です。
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今回は3つの”ステップアップ”についてお話しいただきました。その3つとは…
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自然との親しみ方のステップアップ=・同じコースをリピート・往復ルートでゆっくり・楽しいことは周囲に知らせる。
四季折々に美しい自然を見せる西丹沢の山々。その季節独特の山の見どころをご自身撮影のスライド写真でご紹介くださいました。また西丹沢の登山コースの特徴(沢がらみのコース、1000m級の山、岩・鎖があるコース、登山道に避難小屋が整備されている等)を教えていただきました。
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登山技術のステップアップ=「体力」8から10時間程度歩き続けられること。「技術」正しい道具の選び方と使い方ができること。「経験」たくさんの山に行くこと、失敗を次の山につなげること。
自然教室では登山者に登山届を出していただいていますが、そこから見る西丹沢の登山者の特徴は…
昨年1年で15800人、10年前の1.7倍に増えています。単独行や2人連れ、65歳から70歳が一番多いとのことです。また初めて西丹沢にいらした方の感想は「意外ときつかった」「沢沿いの荒れた登山道が多い」などがあり、地図やライトを持っていない人もいました。
次に“西丹沢のヒヤリハット”と称し登山者の感想を事例を交えお話しいただきました。
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万が一に備えたステップアップ=事前準備、事故防止のために備えるべき装備とトレーニング
西丹沢で実際に起きた遭難事例とパターンをお話しいただきました。男性単独60歳代が秋に「道迷い」「転倒事故」が原因で遭難し、谷底で発見されるケースが多いそうです。特に思い込みや道迷いを自覚せず進むケースが目立ち、家や道路が見えてくるとついそちらに向かってしまうことがあるようです。また、焦りがある人、急いでいる人、あと少しと気のゆるみがある人などが転倒し事故につながるケースが紹介されました。
ではどうすればよいか。
○情報を収集する。(登山道情報エスケープルート・気象情報・アクセス情報)
○装備を充実させる。
休憩時間には、ご自身のリュックザック(現在は8キロ。食料と水を除く)の中を披露していただきロープ、ファーストエイドの紹介もありました。
規定時間をオーバーするほどの中身の濃い充実した“熱い”講義内容でした。
本日お聞きしたことを念頭に自然あふれる西丹沢の山でステップアップしていきたいと思いました。倉持様どうもありがとうございました。