開催月日:2013/5/17(金) 18:00~19:30(開場:17:30)
受講料:500円
講師:岡部紀正さん(相模原南病院副院長)
場所:板橋区ハイライフプラザ(JR埼京線板橋駅から徒歩1分)
略図は返信はがきに記載します
山において数多くの症例のある命取りとなる病気。トムラウシや白馬での悲劇を
くりかえさないために、自分達の命は自分達で守る最低限の知識を学びましょう。
46人の出席を得、開講前にクイズ形式で岡部さんのプロフィールを紹介した。そして、岡部さんの熱い講義が始まった。
まず、最初の30分間は前座で、漢字や言葉について日本語を大切にする国語の時間である。さすが、医学生に教えているだけであって飽きさせない話が続く。
6時半から本題の熱中症に入った。熱中症は気温上昇に体が慣れないために起こり、山の高度馴化同様暑さに慣れることが必要。ポイントは水分の補給、休憩する、頑張らないこと。さらに50分から低体温症に移る。低体温症とは中核部体温が35℃以下になったことを言い、産熱量より放熱量が多い時に低体温化が進む。特に高齢者の体温調節機能は低下しているので、防寒に留意し重ね着やマフラーが良いと説く。また、救助が必要になった時の意識状況を見る方法としてジャパン・コ―マ・スケールの3・3・9度方式について説明。この方式は救急隊を始め広く用いられているので参考になった。
最後に質疑応答があり、予定時間をオーバーして終了した。出席者全員に岡部さんのサイン入り著書『高木文一 初登攀の軌跡』が進呈された。出席者はサイン本を抱え、喜喜として会場を後にした。
(上野 和夫 記)
講座を始めるに先立って、受講者の皆さんがどんなことをご存知かを知りたくクイズをさせていただきます。楽しんで回答してください。
Q1.日本における熱中症での年間死亡者数は約200名程度である。 |
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A1.× 2007~2011年平均で800人以上死亡している。 |
Q2.低体温症とは、通常体温から-3度以下となった状態である。 |
A2.× 正確には中核体温が35℃以下になった場合をいう。 |
Q3.低体温症になりかかっている人への対策としてまずやるべきことは、乾いた衣服に着替えさせ、身体を暖めることである。 |
A3.○ 摩擦もよい。服の上からこすっても良い。 |
Q4.暖める方法で最も効果的なのは、暖かい風呂に入れることである。 |
A4.○ 山では風呂の所まで下山しなければならないが、お湯で温めるのが効果的。 |
Q5.高齢者は若年者より体温調整能力が低下しているので、予防対策として防寒を十分にすることが必要である。 |
A5.○ |
Q6.意識状況を判定する基準に、ジャパン・コーマ・スケールの3‐3‐9度方式がある。 |
A6.○ 岡部講師著「高木文一 初登攀の軌跡」にも解説の記述がある。 |
Q7.山での緊急救助要請のために携帯電話が使われることが多くなったが、その場合の留意点として、山では電波が届きにくい場所が多くあり、そのような場合には、人家に少しでも近い低い地点に向いながら、届く地点まで降りるのが効果的である。 |
A7.× 電波をキャッチするためには稜線に出る方が有効。 谷では届きにくいところが多い。 「圏外」の表示が何度も出て、低温でもあるので「充電切れ」となり、万事休すとなりやすいので注意を要する。 |
以上