開催月日:2013年2月20日(水)13:30~15:30(開場:13:00) 受講料:500円
講師:猪熊隆之さん ヤマテン社長(山岳気象予報士・「山岳気象大全」著者)
場所:アルパインツアーサービス(株) 説明会場
(地下鉄三田線内幸町から徒歩5分・JR新橋駅から徒歩7分)
近年「気象遭難」が数多く聞かれるが、これを自らが避けるためには山の天気についての基本的な知識が必要。知識が足りなかったために「想定外」の事故に会わないように「想定内」の範囲を広げる努力が自分の命を守ることに繋がる。
そこで、どんな状況の時に天気が崩れるのかを科学的な原理から紐解き、基礎から分かりやすく説明していただいた。
雲のでき方や風の向きから天気の変わり方が予想できる。
山の天気が変わりやすい原因は、海を渡ってきて水分をたっぷりと含んだ風が、山に当たって上空に上り冷やされて必然的に雲ができ、天気が崩れることによる。だから、山麓の風向きに基づいて、山の天気はある程度予測ができる。
標高の高さによる気温の変化は予想できるし、標高が高くなるほど風が強まると考えられるので、それに備える服装を準備することが必要であるとの説明があった。
また、低気圧・高気圧・前線の説明。雷のでき方と避ける方法についても解説いただいた。
最後に一般登山者への気象情報配信:http//i.yamaten.info/
を紹介いただいた。
以上
とっつきにくい山の天気予想について、やさしく原理から噛み砕いて説明いただいた。
講師から2時間弱では理解するのには時間が足りなかったのではと憂慮され、来年も同様な講座―ただし「中級編」を開講していただく提案をいただいた。
来年の講座に向けて講義内容をすんなり消化できるように、それまでに講師が書かれた「山岳気象大全」を購入して今回の復習をして理解を深めておきたい。
「自分の身は自分で守る」の自立したハイカーになるためにも、山の気象について更に理解を深める必要があることがよく分かった。
講座を始めるに先立って、受講者の皆さんがどんなことをご存知かを知りたくクイズをさせていただきます。楽しんで回答してください。講座終了後、解答と解説を掲載します。
会員外の方で以下のクイズに回答をお寄せいただいた方には、解答とともに見本誌として「新ハイキング」のバックナンバーを無料でプレゼントいたします。
問題をコピー&ペーストして、正解を問題の横にお書きいただき、〒ご住所・お名前をつけて info@sinhai.net 宛てにお送りください。
Q1.雨の落ちる速さは次のうちどれでしょうか? |
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1.ジョギングする速さ 2.一般道路を車が走行する速さ 3.ジェット機の飛行速度 |
A.2 雨粒の直径にもよるが、平均的な大きさの雨粒で時速25kmから40km程度です。 |
Q2.雲の種類は国際的な基準で10種類あります。その中で、雷や突風、短時間の強雨などを引き起こす雲は次のうちどれでしょうか? |
1. 積雲 2. 乱層雲 3. 積乱雲 |
A.3 積乱雲は、大気が不安定な状況で発生し、雲底は1km未満のことがあり、雲頂は発達すると10km以上にも達する雲で、気象災害はほとんどこの雲によって引き起こされます。 |
Q3.降水確率の定義のうち、正しいのは次のうちどれでしょうか? |
1. 指定された時間帯に1mm以上の降水の降る確率である。 2. 降水の有無についての確率であると同時に、強さも表している。 3. 降水確率は翌々日までは12時間単位で発表される。 |
A.1 降水の有無についての確率であって、降水の強さについては表していません。翌々日までの降水確率は6時間ごとに発表されています。 |
Q4.次の山のうち、初冠雪の平年日がもっとも早い山はどれでしょうか? |
1. 鳥海山 2. 立山 3. 大雪山 4. 甲斐駒ケ岳 5. 富士山 |
A.3 平年日では大雪山です。今年は大雪山の初冠雪が大幅に遅れ、富士山が平年より早かったために、富士山がもっとも早くなっています。 |
Q5.次のうち、低体温症による気象遭難事故がもっとも多く発生している気圧配置はどれでしょうか? |
1. 温帯低気圧が発達しながら通過する直前から通過中 2. 台風の暴風域に入ったとき 3. 温帯低気圧が発達しながら通過した後 |
A.3 低体温症による気象遭難は、温帯低気圧が発達しながら通過した後の日本海側の山岳でほとんど発生しています。日本海側の山岳では低気圧の通過前よりも通過後に大荒れの天気となり、気温が大きく低下する可能性があることをよく覚えておきましょう。 |