お山の教室

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「お山の教室」第4回 『藪漕ぎ学』【実践編 併設講座】

開催月日:2012/10/29(月) 13:30~
講師:坂本勇リーダー・遠藤明彦リーダー
場所:板橋区ハイライフプラザ

主な内容

以上

レポート

10月29日(月)に現役リーダーであり且つ、新ハイキング社最新刊の『関東周辺やまなみ歩き』の著者の二人、坂本勇さんと遠藤明彦さんが講師。北区ハイライフプラザにおいて30名満席の参加者を得て開講。
坂本講師はご自身の薮漕ぎ山行の体験などに基づく実践的な講演内容。必携用具や服装、コース設定や山行時の注意事項、迷った時の対処法などを時に笑いを誘うお話。ピッケルとロープのプレゼントもあった。
遠藤講師はクイズ中心で、地図の読取りを説明し、尾根線を実際に引いて実践した。ナビゲーションでは地図の先読み、薮漕ぎではルートファインディングが必要なこと。GPSの体験にもとづき地図読みと併用で道迷い防止に役立つことなど実践的なお話。
薮漕ぎ学の実践講習の参加へお誘いがあり、受講者からは、「薮漕ぎ山行」への期待が高まってとても好評であった。

藪漕ぎ学のクイズ

講座を始めるに先立って、受講者の皆さんがどんなことをご存知かを知りたくクイズをさせていただきます。楽しんで回答してください。講座終了後、解答と解説を掲載します。

第一問 藪漕ぎに必要な服装や道具で正しいものはどれでしょう?
正しいと思うものに○をつけてください。(以下の設問も同様)
① 暑い時でも長袖長ズボン
② ストック2本 ×
③ 手袋やスパッツ

【解説】
①藪漕ぎ用の服装は、破け汚れなどで捨てても惜しくないものを着用し、長袖長ズボンは引っかき傷やササダニ予防に必須です。

②ストックは、薮の中では邪魔になりザックに括り付けても引っかかり危険になります。

③手袋は手の切り傷予防、スパッツは靴の中に入り込む枯れ葉や小枝などの予防に必要です。

第二問 藪漕ぎの心構えで必要なものはどれでしょう?
① その地域のガイド資料や地図などの情報を集める。
② 立ち入り禁止の看板があったが、少人数なのでそのまま行く。 ×
③ 初めてのルートや探索の道は登りに設定し、尾根を選ぶ。

【解説】
①コース設定は、その地域のガイド資料や地図などの情報を集め研究します。

②立ち入り禁止の看板があった場合には、道の持ち主に配慮し立ち入らぬことが必要です。

③初めてのルートや探索の道は、登りに設定し地形を読みやすい尾根を選びます

第三問 下山途中で道が消えて分からなくなりました。正しい判断はどれでしょうか?
① 下の方に林道が見えているので、道はないがそのまま下る。 ×
② 地図をよく見て現在地の把握を行う。
③ 沢筋には決して入らない。

【解説】
①眼下に林道が見えても林道に擁壁があったり、予期しない崩れやガレ場が現れたりするので、安易には下らないことが寛容です。

②前もってルート研究した地形図の情報から現場の状況を理解して現在地の把握を行います。

③下りは、沢筋は滝や崩れなどが隠れているので決して入らず、道標や印のあるルートや歩いたことのあるルートを設定します。

第四問 地形図で正しいものはどれでしょうか。
① 地形図には、等高線、記号、標高、縮尺・スケールが記されている。
② 地形図の等高線からは、標高、傾斜の方向、傾斜の緩急が分かる。
③ 地形図からはピーク、尾根、沢、鞍部、石祠、鉄塔が読み取れる。 ×

【解説】
①地形図には、等高線、記号、標高、縮尺・スケールが記されています。

②標高は標高表示のある等高線から分かります。また、傾斜の緩急と傾斜の方向は等高線の間隔の広狭と方位から分かります。

③地形図にはピーク、尾根、沢、鞍部が記載され読み取ることができますが、石祠、鉄塔などは記載されていないので読み取ることができません。

第五問 ナビゲーションの地図読みとルートファインディングで正しいものはどれでしょうか。
① 地図読みとは、地図に表されている情報から現地の状況を理解すること。
② ナビゲーションとは、未知の場所で目的地に確実に到達すること。
③ ルートファインディングとは、地図から読み取れる情報を使ってルートを見つけ出すこと。 ×

【解説】
①地図読みとは、地図に表されている情報から現地の状況を理解することです。地図読みの思考には、「目の前にある地形を見て、該当する場所を地図上で探すこと(地図と地形との照合=地図の後読み)」と「地図を見てどんな地形であるかをイメージすること(地図の先読み)」があります。
地図読みの力が付いてくると、地図の後読みの時間が減り先読みの時間が増える。イメージした地形が次々に現れると、地図との照合は単なる確認にすぎなくなり、視線は自然にルートの先へ先へと動いて先読みが続きます。

②ナビゲーションとは、現在地から目的地に確実に到達することです。ナビゲーションの地図読みとは、チェックポイントで「現在地の把握」「プランニング」「ルート維持」のサイクルを回し地図の先読みを行い、目的地に確実に到達することです。ナビゲーションの地図読みの力を付けると、道間違えを最小限に防ぎ、道迷いの防止(道迷いをかぎりなくゼロにすること)ができ、より安全な山歩きができ、また達成感や充実感が得られ喜びが湧き上がり、山歩きが楽しくなります。

③ルートファインディングとは、踏み跡も薄く分かりにくい、地図からは読み取れない現場(障害がありルートがわかりにくいとか、踏み跡が広がっているなど)の情報を使って、自分の冷静な判断力によってルートを見つけ出し選んで進むことです。
「激薮」では、密集が濃く視界が遮られ地形を見ることができなくなるため、「現在地の把握」もままならず「ルート維持」も難しく「ナビゲーションの地図読み」は困難となり、「ルートファインディング」で現場の情報から冷静な判断力によってルートを選び、障害を避けているうちに目的地から大きく外れてもルートを修正できるような「プランニング」が重要となります。
「激薮」を脱出し「スカ薮」になり、密集が薄く視界が利いてくれば地形を見ることができるようになるので、「現在地の把握」「ルート維持」「プランニング」のサイクルを回し地図の先読みをすると、「ナビゲーションの地図読み」ができるようになります。

【参考図書】
平塚晶人:登山技術書③山岳地形と読図、山と渓谷社 村越真、宮内佐季子:山岳地図の読み方・使い方、枻(えい)出版社

第六問 GPSの使い方で適当と思われるのはどれでしょう。
① GPSによるナビゲーションは、地図読みを必要としない。 ×
② 上空が開かれていていない深い森林や谷では位置精度は悪い。
③ 止まっている時には正しい移動方向を示さない。

【解説】
①GPSによるナビゲーションは、地図読みが必要です。GPS液晶パネルに表示された地図が表示されるので「現在地の把握」ができますが、ルート誘導機能がなく、GPS液晶パネルに表示された地図は狭い範囲しか見られないため、「ルート維持」「プランニング」がしにくく、「ルート維持」「プランニング」を行うためには地図読みを併用します。

②現在地を測定するためには、最低人工衛星4個以上の電波を捕捉する必要があるので、上空が開けていない深い森林や谷などでは位置精度が悪くなり、測位できないかまたは測位できても大きな誤差を生じます。GPS液晶パネルの地形図に表示したポジションアイコン(三角形)を囲む円の大きさで位置精度を確認し、円が大きければ位置精度が不正確、円が見えなくなるか小さくなれば正確であると判断します。良好であれば約10m未満の誤差で測定できます。

③止まっている時には正しい移動方向を示さないので、5mほど移動して確認する必要があります。

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