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新ハイキングクラブ 「お山の教室」

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「お山の教室」第81回
『奥武蔵の民俗学入門 〜 奥武蔵の伝説の舞台を訪ねる山旅』

開催月日:2019年3月26日(火)13:30~15:30
講師:小泉重光会長(奥武蔵研究会)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:26名

 

主な内容

①奥武蔵という山域について
②奥武蔵の雨乞い神事
③秩父越生街道と高篠長者
④ニホンオオカミの謎
⑤花魁と黒山周辺の神仏

 

レポート

講座の様子 講座の様子

今回の「お山の教室」は、奥武蔵を愛する同好者の集まりであり、奥武蔵を中心にして地域研究にも多くの成果を挙げてきた奥武蔵研究会の小泉会長にお話ししていただいた。同会の創立は新ハイとほぼ同時で、双方に所属の会員も多く、記事の投稿をはじめ、これまで多くの交流があった。また、ご存知のとおり、昭文社の「山と高原地図 奥武蔵・秩父」の調査、執筆も担当し、新ハイ山行にも活用させていただいている。

奥武蔵は秩父山地と武蔵野台地をつなぐ地域であり、林業や農業・養蚕業を主な産業としていたが、里山と密接な生活は仏教や神道をベースに独自の文化や伝統を形成していった。今回はそんな奥武蔵の伝説を訪ねる旅が画像で紹介された。

奥武蔵雨乞い龍神紀行…斜面を開墾し、農作業を営む奥武蔵の集落は水不足に悩まされ、それを解消する神事が行われた。各所に雨乞山や雨乞淵があり、龍神に祈祷したり獅子舞を奉納して、雨を呼んだ。中でも有間大淵の龍神が有名だった。龍神は越生の龍穏寺近くの龍ヶ谷に棲みつき、高山不動上空を度々飛行していたが、それに業を煮やした不動尊が龍を斬りつけたため、その尾は切り落とされ、それ以来有間谷に棲みついたということだった。龍穏寺と有間谷をつなぐルートとして、龍ヶ谷―飯盛峠―奥の院―高山不動―雨乞場(顔振峠の東)-小床参道―子の権現―河又―龍泉寺が紹介された。

秩父越生街道と高篠長者…秩父と越生を結ぶ交易路が秩父越生街道。交易に使われた馬が負担無く歩けるよう、ピークにこだわらず、斜面をトラバースするようにつけられた。馬頭観音や道標替わりの石柱も各所に残り、それらを手掛かりにした旧道歩きも楽しいかもしれない。旧道にまつわる高篠長者や刈場坂ロッジの話も興味深かった。

ニホンオオカミの謎…奥武蔵や秩父の神社などで、お札や石像(狛犬)として祀られるオオカミだが、オオカミとヤマイヌは同一、という説がある。しかし、耳の垂れ具合などは異なり、区別可能と考えられる。奥武蔵ではときがわ町の多武峰神社近くにオオカミの伝承地がある。

花魁と黒山周辺の神仏…江戸時代末期、吉原遊郭の尾張屋三平が、黒山三滝の男滝女滝を男女和合の神と見立てて紹介し、遊郭女郎の信仰を集めた。また、越生で吉原花魁道中のイベントも行ったことで黒山三滝は観光名所となった。産業面では、この地で盛んな養蚕は女性が主たる労働従事者で、そのため女性の力は強く、女性たちによる月待講を維持したり、姥神観音のような女性信仰も各地で散見される。

全体を通し、民俗学という新たな視点を得ることで、慣れ親しんだ奥武蔵という山域が新鮮に感じられ、より魅力あふれるエリアとなった。他の山域についても調べてみたいといった意欲を持つことのできた興味深い講演だった。

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