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新ハイキングクラブ 「お山の教室」

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「お山の教室」第80回
『秩父ジオパークの魅力Ⅱ』

開催月日:2019年2月18日(月)13:30~15:30
講師:吉田健一さん(ジオパーク秩父常席推進員・NHK放送大学講師)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:21名

 

主な内容

①ジオパークとは
②日本のジオパーク
③ジオパーク秩父について
④ジオパークの視点を行動に

レポート

講座の様子 講座の様子

2017年の12月に「ジオパークってなあに?」のテーマで「お山の教室」初の地学的分野を実施しましたが、新鮮な内容と講師の吉田先生のお人柄によりパートⅡの要望が数多く寄せられ、第2回の実施となりました。吉田先生は長らく埼玉県の高校で教鞭を執られ、校長先生として退職後は埼玉県立総合教育センターの主任講師をお勤めで、放送大学の講師もされています。

「ジオパーク」は、最近ではJRの「大人の休日倶楽部」CMでも採りあげられ(吉永小百合さんが伊豆ジオパークを旅するCMです)以前よりも市民権を得てきた言葉、と言えます。高校山岳部からスタートした吉田先生は次第に山よりも地質に目が向き、教職から現在のジオパーク推進員まで一貫して足下にある見えない大地を魅せる活動に邁進してきた方です。

「ジオパーク」とは、日本ジオパークネットワークによると、「ダイナミックな地球の活動がよくわかる地質や景観が、大切に守られ、教育や持続可能な開発に活用されている地域」のことだそうです。それを前提に、日本各地のジオパークについて解説がありました。例えば、洞爺湖のジオパークは「変動する大地との共生」がテーマで、畑が火山と化した昭和新山を目の当たりにする、テーマが実感できる場所です。島原半島ジオパークは雲仙普賢岳の噴火による熱風が吹き抜け、窓ガラスが全て吹き飛んだ姿をさらす大野木場小学校をあえて保存し、大地のエネルギーや自然の脅威を感じてもらう工夫がされているそうです。

多くの画像資料により、ジオパークの何たるかが少しずつつかめてきたところで、秩父の登場です。秩父と銚子はじつは地質的につながっていて、「内縁関係」にある、というお話。また、秩父は盆地だということは皆さんご存知ですが、盆地を囲む東西では地質が異なることの説明があり、映像で納得。最近雲海ウオッチングで有名な蓑山(美の山)あたりは長瀞と同じ、薄くはがれやすい結晶片岩で、なだらかですが、横瀬の二子山や武甲山あたりは硬いチャートや石灰岩で、山容も尖るというお話。その間を抜けるのが国道299号(正丸峠)で、秩父側から東を見ると、なるほど、正丸峠をはさんで南と北では山容が大きく違います。また、秩父の気候は冬寒く、乾燥する「空凍み」(からっちみ)だそうで、つるし柿が名産、中津川地域に上昇してきたマグマにより、金・銀・鉄などの鉱石が産出し、戦前は学校や映画館もあり、おおいに賑わっていた、など、様々な視点からの解説がありました。中でも、那智・熊野古道に三峰・雲取あたりと同じ地名があり、昔の修験僧などが、共通の景観を感じて命名したが、調べてみたら山体を構成する地層が同じものでつながっている事実があったというお話は興味深かったです。

秩父も、その昔は木炭や水力発電、絹織物、セメント、歌舞伎、札所などがキーワードでしたが、今は氷柱、紅葉、祭り、アニメの聖地など魅力や特色が様変わりした、というお話もありました。戦後の植林政策でスギやヒノキが広範囲に植えられましたが、外材に押され結局放置され、地理的に植林が困難だった沢筋に残ったカエデ類が今の紅葉時期の観光を支えている、という皮肉なお話もありました。広葉樹を守っていたら、どんなにすばらしかったでしょう!「ジオパーク」も秩父の魅力のひとつであり、秩父でジオパークの視点を身に付けて、他の場所で応用する、というのも山登りの新しい楽しみ方なんだな、と納得しました。

最後に、「見る・観る・診る」のお話があり、ただ漠然と「見る」のではなく(ジオパークの視点で言うと)見えない地面の下まで診る姿勢を持てば、楽しみの幅も広がると実感しました。 吉田先生は終始にこやかでユーモアたっぷりの語り口で、90分間があっという間でした。(今回は都内在勤の弟さんもご出席のためか、少々マジメモードでしたが…)今回も笑いに包まれた幸せな講座でした。秩父での実地講座の希望も出され、事務局で検討していきたいと思います。

講師の吉田先生、ありがとうございました。

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