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「お山の教室」第65回 『道迷い遭難を考える - 丹沢を中心に道迷いを分析』

開催月日:2017年11月29日(水)13:30~15:30の予定(13:00~受付開始)
講師:野村仁さん(日本山岳文化学会遭難分科会)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:40名

 

主な内容

道迷い遭難は都市近郊の中~低山で多発しています。その中には遭難騒ぎに近い軽度なものから、行方不明になり見つからない重度なものまで様々です。
丹沢を中心に道迷い遭難のいろいろな起こり方を説明し、遭難を防ぐための準備と心構えについて考えます。

①日本山岳文化学会について
②丹沢の道迷い遭難の実例
③道迷い遭難の分類の試み
④まとめ

 

レポート

今回の講師、野村仁さんは日本山岳文化学会に所属し、遭難分科会で遭難事故減少のための啓発活動をされています。日本山岳文化学会は2002年の国際山岳年を契機に、人文・社会・環境・自然科学などのあらゆる分野にわたり山岳に関連する諸問題について科学的見地に立って分析や研究を行うことを目的に設立された学会です。

従って、個々の遭難事例も分析・分類することによりその原因や経過、結果について科学的評価がされるはず、という視点でお話が進みました。まずは、わたしたちにもなじみ深い丹沢の事例からです。大倉尾根では3件の事例が出されましたが、内2件は灯火類を持たず、正規ルートにいるにも関わらず身動きが取れなくなり、遭難要請した、というもの。いずれも秋から冬にかけての遭難でした。桧洞丸では西丹沢特有の険しい尾根からの転落もありますが、更に遭難直結となる、迷った末の沢への下降で進退窮まる事例が紹介されました。また、近年増えているのがバリエーションルートの問題です。新ハイ会員にはバリエーションルートによる登山をされる方も多く、他人事ではありません。中でも、大室山・桧洞丸・大杉山と縦走してきたものの戸沢ノ頭からの下降で道に迷い、ビジターセンター対岸の斜面に出て、幸いセンターの職員さんにライトと声で誘導され下山できた事例は緊迫感がありました。行動開始が遅い、ということも遭難のリスクを大幅に高めるものです。

最後に道迷い遭難の分類について説明がありました。 Ⅰ低山型 Ⅱ深山型(高山型) ①無雪期 ②雪山 ③バックカントリー などの分類がありますが、発生原因による分類が参考になりました。具体的には、A装備不完全による行動不能…地図、コンパス、ライト、ビバーク用品を持たないために行動不能になる事例。初級者に多く見られる。 B初歩的ミスによる道迷い遭難…分岐点を見落とす、パーティーから離脱、落ち葉や残雪、悪天候によりルートを外れるなど。これも初級者に多いそうです。 C情報不足による道迷い遭難…事前の情報収集が十分でない、誤った情報を鵜呑みにするなどによるもの。中・上級者でも起こり得るが正しく十分な情報を基に行動すれば起こらないというお話でした。 Dバリエーションルートによる道迷い遭難…登山者は地図読みなどのスキルを身に付けた上で、十分にリスク管理をし、もしもの場合も想定できる人でなければ踏み込むべきでない、と感じました。 E雪山での道迷い遭難…スキーヤー・スノーボーダーによるバックカントリー遭難が典型的だそうです。 いずれにしても、自分が行動しようする地域やルートの実態と自分の力量を照らし合わせ、どんな危険があるのか把握し、早め早めに対処する、真の「行動力」が要求されることを改めて痛感しました。安全な山はありません。標高に限らず、どんなルートでもリスク管理は重要です。

講師の野村先生、ありがとうございました。

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