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「お山の教室」第62回 『クマによる事故に遭わないために』

開催月日:2017年8月29日(火)13:30~15:30の予定(13:00~受付開始)
講師:小池伸介さん(東京農工大准教授)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:40名

 

主な内容

①クマという生き物について学ぶ
②ツキノワグマの生態
③ツキノワグマの現状
④クマによる人身事故とは
⑤山での事故を防ぐには
⑥質疑応答

 

レポート

講座の様子 講座の様子

昨年発生した、秋田県鹿角市のクマによる人身事故は大きな衝撃でした。「ツキノワグマの習性が変わってしまったのではないか。」「クマ避けの鈴は通用しない。」などの報道もあり、不安が募るなか、多くの受講生が集まってくださいました。

講師の小池先生は日本のクマ研究の最前線を走る若き研究者で、遠くはロシアまでフィールドワークの足を延ばしています。お話はツキノワグマの生態からでした。生息する環境や年間を通しての食べ物、冬眠や繁殖についてのお話で、食べ物は植物質が中心であり、ドングリ類の実りに左右される厳しい環境で、必死に生きているクマたちの姿が目に浮かびます。また、冬眠中は筋肉量が落ちず、尿素は増えないので排尿の必要もないなど、クマ独特の適応に驚かされました。厳しい自然の中で生きてきたクマですが、主に人間側の都合や変化(過疎化問題、荒れる里山、狩猟人口の減少と高齢化など)により生息域が変化し、人間との軋轢も増えていきます。近年は、移動速度の速いトレイルランやマウンテンバイク、クマ側にとって不用意な遭遇となるバリエーションルートでの事故など新しい要素が加わっているものの、基本的には動物として、できるだけ楽をして生き延びたい、遺伝子を残したい、子孫を守りたい、そういった要因で行動が決められている、という印象を持ちました。

「人の持つ食べ物の味を知ってしまうと、それはクマにとって麻薬みたいなものだ。」というお話がありましたが、人がそういったものを持っていることを学習してしまった個体が危険なわけで、そんな個体を生む原因は全て人の側にあります。子連れのクマが危ないのは我が子を守りたい一心からで、我が子が人を見ても逃げようとしなかったら、我が子を守るため、止むにやまれぬ攻撃に出てしまう、という切羽詰まった母クマの行動も理解できます。様々な事例を学ぶにつれ、クマたちの必死な生活が想像でき、なんだか切なくなってしまいました。いずれにしても、お互いの幸福のためには遭わないのが一番です。

最後にクマに遭わないためにはどうするか、不幸にも遭遇してしまった時はどうするか、というお話がありました。クマの正しい姿を知り、過去の事例から学び、準備段階から出遭わない努力をすることが大切なんだ、と分かりました。私自身は、最後の局面では戦うしかない、と思っていますが、なんとか(人間優位はおこがましいのですが)クマに今一度、『人間は怖い存在だ』と知らしめ、山に入る人は全て山中で自分の存在をアピールする努力をし、クマたちに早めに逃げていただく、そんな状態に戻ればなぁ、と願っています。

参加者の皆さんからは質問が相次ぎ、2時間超の充実した講座となりました。本講座の内容は、今後の野外生活に大いに役立つ、と確信しました。 講師の小池先生、ありがとうございました。

(世話人:湯沢 宏)

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